2021/10/08
以前の記事で、アナログ信号計測において、アナログ入力インターフェイスの選択や周辺アクセサリの選択は重要であると説明しましたが、今回は周辺アクセサリのケーブルに着目して、アナログ信号の精度を向上させる方法について説明します。
ノイズの侵入経路は様々であり、信号計測デバイスや測定対象デバイスにノイズが掛かる場合もありますが、デバイス間で接続しているケーブルも例外ではありません。デジタル信号の場合は「1」か「0」の2値であり、たとえノイズが印加されても、しきい値を超えなければ、デジタル入力インターフェイス側の結果が変わることはありません。
しかし、アナログ信号の場合は、ノイズによって信号に歪みが生じると、歪みが含まれた信号がアナログ入力インターフェイス側にそのまま印加されます。ノイズによって信号品質が下がることになるため、正確に信号測定するためにはノイズ対策が必要です。
不要電磁波として空間を飛来しているノイズを、ケーブルがアンテナとなって受信することがあります。受信したノイズが計測信号に印加されることで、測定精度が悪化します。飛来ノイズの除去には、シールドケーブルで接続することが有効です。
シールドケーブルは、信号線を金属製のシールドによって覆ったケーブルです。シールドは銅やアルミニウム等の素材で作られた編組や箔によって構成されます。
飛来した電磁波ノイズは、覆われた金属製の編組や膜によって吸収され、接地されたFGを通してノイズを逃がすことができるため、信号線に対して電磁波の干渉を防ぐ効果があります。
シールドを接地する際には、ケーブルの片端のみを接地し、もう一方の片端側は開放した方が、信号が安定する場合があります。これは、両端をグランド接続した場合、機器間で大きなグランドループが形成され、グランドを経由してコモンモードノイズを拾いやすくなるためです。
コンテックでは各種計測ボード用にノイズ対策を考慮した各種ケーブルやアクセサリを用意しております。相手機器との様々な接続方法を考慮して適切なシールドケーブルを選択して頂くことが可能です。各製品に対応したケーブルは下記ページから選定できます。
ツイストペアケーブルは、信号線を2本対として螺旋状に撚り合わせたケーブルです。別名撚り対線とも呼ばれます。おすすめのツイストペアケーブルを紹介します。
信号の対線が平行である場合、飛来ノイズの電磁波によって磁場が発生すると、それに伴い起電力が発生し、誘導電流が発生してノイズ源となります。この対策として、信号線をねじる(ツイスト)ことで、ねじれ毎に起電力が逆向きに働くようになります。このため、起電力がノイズを打ち消しあうようになり、飛来ノイズからの影響を低減することができます。
各ケーブルのノイズに対する有用性は下図のとおりになります。
ノイズ耐性が一番弱いのは平行2線の場合で、誘導ノイズ、静電ノイズの両方に対して無防備な状態です。次点はツイストペアケーブルで、誘導ノイズを小さくすることができますが、静電ノイズに対しては無防備な状態です。その次はシールドケーブルで、静電ノイズを小さくすることができますが、誘導ノイズに対しては無防備な状態です。ノイズ耐性が一番強いのはツイストペアケーブルにシールドを組み合わせたもので、誘導ノイズ、静電ノイズともに対策が取れています。
センサの出力インピーダンスや、ケーブルのインピーダンス成分と浮遊容量によって、CR回路が構成されます。そのため、ケーブル長が長くなればなるほど、出力信号の電圧降下や波形なまりが発生します。ケーブル長をなるべく短いもの(0.5m~1.5m程度)を選定することで、この影響を低減することが可能です。
ノイズ耐性に影響を与えず、長距離の信号伝送を行う場合は、電圧信号ではなく、電流信号を採用する方法があります。
電圧信号0~10Vの測定環境に、ノイズ電圧として10Vが印加された場合、受信デバイス側には信号電圧と同等のノイズ電圧がそのまま影響を受けます。
一方で電流信号4~20mAの測定環境に、ノイズ電圧として10Vが印加された場合では影響度が異なります。
電流出力信号源の出力端子からみた信号源の抵抗値は通常1MΩ以上あります。そのため、ノイズ電圧10Vによって受信抵抗250Ωに流れる電流値は、I = 10(V) / 106(Ω) = 0.01(mA)となります。結果として、ノイズの大きさは電流信号20mAの1/2,000となり、ノイズが測定結果に与える影響が小さいことが分かります。
アナログ信号の信頼性を上げるためには、デバイス選定だけでなく、接続するケーブルにも注意を払う必要があります。コンテックでは、ノイズ対策や機能拡張などの要望に応えられるように、ケーブルを含めた各種アクセサリを取り揃えています。
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