実証しているメロン養液栽培とは、土を用いず、鉱物繊維(ロックウール)を培地としてポットにいれ、日射量に応じて養液を自動灌水しながら栽培していく。
メロン養液栽培の場合、土の蒸気消毒が不要になり、土を起こし耕す重労働から解放される。また、かつて水かけ10年といわれた匠の作業が自動化されるため、匠の高度なノウハウがデータで継承され、名産地ブランドとしての品質管理を可能にし、年間の収穫回数も4回から5回に増え、生産性も25%アップする。
その分、従来は1日2回程度で済んだ灌水が20~60回に増えてしまう。養液栽培によって、大幅に増加する灌水の工程数を自動化するために、大和コンピューターでは田代部長をはじめとする技術者出身の担当者がマイコンでシステムを自作し稼働させていたが、機械的な信頼性等に課題があり、製品化された最適なオープンシステムを探し求めていた。
「それが、ある日、展示会で偶然見つけて、あっ、これだ!と思い、早速、導入しました」(i農業開発部・田代部長)これだ!と名指しされたのが、コンテックのリアルタイム制御エンジン「CONPROSYS®PACシリーズ」だ。
その導入により、日照が短い季節に陽光の透過率を高めるために南面の屋根面積を大きく取ったスリークォーター式のガラス製ハウスでのメロン養液栽培に必要な制御(コントロール)を適宜一括して行い、その経過を遠隔でモニタリングすることを実現した。
今後「CONPROSYS®PACシリーズ」の機能でハウス内の温度、湿度、CO2、感雨、養液のECなどをセンシングし、それらのデータをもとに、灌水、天窓の開閉、ボイラーの温度調整などをより細やかに自動でコントロールしていきたい。つまり、メロン栽培の匠の技が、徹底した品質管理の中、時季や品種などに合わせて実現できることになる。
おいしさを凝縮させるために、1本の木に1果の栽培は変わらないが、この自動化を進化させ、ポットの間隔を狭くすることで収穫量をさらに向上させる事を目指している。