「不具合を発生させない仕掛け作り」を追求し、サイバーテスターを開発。2006年から国内工場とベトナム工場に導入を開始し、ノウハウを蓄積しながら機能改善を続けた結果、2008年から急激に不良率が低下したという実績を挙げています。特にベトナム工場では、素直な国民性から新しいことに取り組む意欲も高く、積極的にサィバーテスターを活用したことで一段と品質が向上し、現在は国内よりも高い品質を維持できるようになっています。もともとベトナム人は勤勉で手先が器用なため、繊細なハーネス作りに適性があります。しかし、不良が発生した後の対応を教えるには難しい面がありました。サイバーテスターの導入で不良を確実に捕らえることができ、簡単に修正できるようになったことが品質向上に大きく貢献しています(図1)。
ハーネス検査をするには、事前に被検体となるハーネスの各端子間の情報を品種ごとに「リファレンス」と呼ぶデータテーブルに登録します。サイバーテスターはそのリファレンスを参照しながら一方のピンに出力した信号が、他方のピンに正しく入力されるかを検査することで、ケーブルの不具合(誤配線、短絡、断線)を自動で判断します。併せて、外観など目視検査の結果は手入力します。
サイバーテスターが不具合を見つけると、不具合個所と手直し項目のレポートを発行し、手直しを指示します。同時にデータベースに実績を蓄積します。ある程度データが蓄積されると、今度はそのデータから傾向を抽出し、作業者に「この製品は、この部位でこんな不具合が起きやすいですよ・・・」と知らせて注意を促し、不具合の発生そのものを抑えることができます。すなわち、不具合を発見する装置から、不具合を未然に防止するシステムへと構築されていきます。