阪神高速技術株式会社様

救急医療現場の動画配信システムで活躍する ボックスコンピュータ®
現場情報を遠隔地にいる技術者にリアルタイム動画配信可能なシステムを開発・運用

総延長243.8kmにおよぶ阪神高速道路の施設の新設、改築、維持、修繕、災害復旧などを主要業務としている阪神高速技術(株)様。同社は高速道路の維持・管理で培ってきた動画配信技術を応用して、救急医療用リアルタイム動画配信システム「Dr.now」を開発、救急車両の画像処理・通信用コンピュータに「ボックスコンピュータ®」が採用されています。

キーワード
  • 計測・制御
業種
  • 運輸・交通
目的
  • 省スペース化
  • 業務効率向上

高速道路の維持・管理で培った動画配信技術を救急医療現場に活用

阪神高速グループには病院施設のコンサルティングを手掛ける企業もあり、救急医療の現場から病院に対して、リアルタイムな動画配信ができないかとの相談が寄せられていました。

このような背景から、高速道路の維持・管理で培ってきた動画配信技術を応用し開発したのが、「救急医療用リアルタイム動画配信システム「Dr.now(ドクター・ナウ)」です。救急現場や救急車から患者の“今”の状況や観察情報を病院に、鮮明な画像で伝えることが可能になりました。

医療現場での実用化にあたり、横須賀共済病院(神奈川県横須賀市)と三浦市消防本部(同三浦市)において2009年12月から実証実験を実施。その結果高い評価を受け、同病院、さらに呉共済病院と呉市消防局(共に広島県呉市)において試験運用が行われています。

救急医療は時間との戦いであり、救急隊員は一刻一秒を争うなかで、さまざまな患者の傷病、病態を的確に見極め、医師と連絡を取り合い迅速に対処する必要があります。その要である情報伝達の部分は、今まで電話による音声情報のみに頼っていました。緊迫した状況下での聞き取りにくい音声や、実際の状況が見えない医師からの指示で動く救急隊員たちには、過酷な負荷がかります。

Dr.nowはこれらの問題を解消するものと期待されていますが、実運用に向けて、救急現場からのリアルタイムな動画を用いた医療行為に対する早期の法的整備が望まれています。

電波状態の悪い現場や移動中でも独自技術により確実に動画配信

本システムは、救急患者の容態や観察情報を現場から医療機関へリアルタイムに高精細の動画を配信し、バイタルデータ(生体情報)などのグラフ情報も撮影することで、救急隊員と医師の情報伝達をより的確に行うものです。

その概要は、

  • 救急車内では、車載カメラを病院から遠隔操作しながら救急患者の全身映像から局部映像に至るまで確認できるため、医師は患者の容態をより正確に把握できる。また救急隊員は、医師からこれまで以上に具体的な指示が受けられるため、安心して処置できる。
  • 災害現場では、救急隊員が小型カメラを携行することにより、その状況を確実かつ迅速に伝達でき、効率的な医療トリアージ(災害医療などにおいて、最善の救命効果を得るため、傷病者を重症度と緊急性により、治療の優先度を決定すること)が可能になる。

主な特長は、

  • 移動時も画像が途切れないリアルタイム動画配信の技術
    • 同社独自の技術により、携帯電話回線の通信状態を自動的に解析し、電波状態の悪い現場や移動中でも通信を途切れさせない
  • 市販の機器を活用できるシステム
    • 周辺機器には市販品を使用でき、安価にシステム構築が可能
  • ランニングコストも抑制
    • 安価な通信費が採用でき、ランニングコストの低減を実現
  • 万全のセキュリティを確保
    • 患者のプライバシー保護が重要となるため、通信に関しては万全のセキュリティを確保

救急車搭載のコンピュータにコンテック製品を採用

救急車に搭載する画像処理・通信用の機器に、コンテックのボックスコンピュータ「BX955シリーズ」と配信動画確認用のモニタが採用されました。BX955は必要な処理能力を持ちながら、耐衝撃性に優れ限られたスペースに設置可能なコンパクトサイズ(厚み35×幅182×奥行き155mm)であることが評価されました。実証実験の結果を踏まえ、モニタ一体型のパネルコンピュータへの移行、電源断対策、OSの安定化など、さらなる最適化を計画しています。

今後の展開に向けて、阪神高速グループの阪神高速技術と(株)情報技術殿(本社:大阪市西区)、およびコンテックの3社は、リアルタイム動画配信システムの営業、販売および保守に関する業務提携を2010年7月に締結しました。本提携は、医療分野でのリアルタイム動画配信システムの導入から保守まで、一貫した体制を構築することを目的としています。コンテックは、主要機器の供給と機器の保守サービスを提供するとともに、今後の機能拡充において,機材の開発・実用化を担っていきます。

ボックスコンピュータ® BX955シリーズ

お客さまプロフィール

人命に関わるシステムの厳しい条件をクリア

阪神高速技術株式会社 企画部長
安田 扶律様
Dr.nowは、まさに命を繋ぐシステムです。救急現場や救急車という狭いスペースでの救命救急は、卓越した操作性や安定したパフォーマンスなど厳しいスペックが要求されます。そのため、BX955シリーズに出会うまではさまざまな機器での試行錯誤が続きました。BX955の導入により、システムの耐衝撃性・耐久性、ファンレス化による粉塵対応、省エネなどの面でシステム性能が大幅にアップしました。今後も、コンテックさんと協力してさらにより良いシステムづくりができればと考えております。

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