株式会社音楽館様

鉄道博物館 209系、211系シミュレータのリニューアルでF&eITを採用

鉄道博物館の209系(京浜東北線)、および211系(高崎線)電車シミュレータのリニューアルで株式会社音楽館殿がF&eITシステムを採用。正確性が求められるシミュレータで十分な応答性を確保しながら、装置側と計算機側をLANケーブル一本で接続する省配線システムです。

キーワード
  • 制御装置
業種
  • 運輸・交通
目的
  • 省スペース化

ハイビジョン実写映像と音響スピーカでリアルな臨場感を再現

鉄道博物館((財)東日本鉄道文化財団)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の創立20周年記念事業のメインプロジェクトとして、2007年10月14日の“鉄道の日”に、さいたま市大宮区に開館したもので、開館当初から博物館としては驚異的な人気を博しています。オープン当時は、運転を精密に再現したシミュレータとして新幹線200系、山手線205系、京浜東北線209系、東海道線211系の4種類が、2006年に閉館した旧交通博物館から移設されました。

この内、2009年4月に209系、211系2台のシミュレータをリニューアルする際に、F&eIT応用システムが設置されました。運転画面は、以前はCGによる映像でしたが、リニューアルにより209系京浜東北線は大宮 - 田端駅間 23.2km、211系高崎線は大宮 - 籠原駅間 41.0kmのハイビジョン実写映像で、運転席から約2mの位置に広がる60インチ3面のマルチスクリーンにリアルに再現されます。音響もスピーカを増設して、さらに臨場感を増しています。ちなみに開館時に新設され、今でも大人気な日本初の本格的な蒸気機関車のシミュレータ、「D51形式蒸気機関車シミュレータ」も音楽館の制作です。

F&eITシステムの応用として、今回は距離は短いものの装置側と計算機側をLANケーブル1本で接続できるという利点を活かした事例です。さらに、汎用のLANケーブルとHUB、イントラネット/インターネット環境を使った広域・多点のリモート監視などにも、幅広く応用されています。

鉄道博物館の運転シミュレータ。同館では、211系高崎線(写真左)、209系京浜東北線(同右)の2台にF&eITシステムが採用されている。

209系シミュレータ。路線映像はフルハイビジョンの大画面。実車と寸分違わずに作られた運転室の機器がF&eITシステムに接続されている。

アナログ・デジタルの入出力信号を1本のイーサネット信号に変換

運転シミュレータは、模擬車両の運転台に設置される運転機器と、綿密な物理計算に基づき限りなく実車に近い操作環境を再現する制御計算機システム、そして臨場感あふれる映像表示装置・音響機器から構成されます。

リアル感を出すために、運転機器は実際の車両に搭載されているハンドルやペダル、速度計・圧力計などの計器類、表示器類を用います。これらの機器は安全性、信頼性を重視した「鉄道規格」に準拠したもの。1本1本の電線が太く頑丈で本数も多く、運転台と制御計算機をつなぐ配線は複雑になります。

また、これらの信号を制御計算機にアナログ入出力・デジタル入出力としてつなぎ込む必要があります。科学的、物理的な理論に基づき、車両性能から勾配・曲線・走行抵抗に至るまで、車両挙動に変化を与える諸要素を正確にシミュレートするために、制御計算機には高い演算能力・描画能力が要求されます。このため、計算機性能を優先することにより、入出力インターフェイスに対する拡張スロットなどが制約される場合があります。

2008年末に設計に入ったシステムでは、拡張スロットを使えない仕様であったために対策を検討した結果、コンテックの「F&eIT(ファクトリー アンド イー・アイティー)システム」の採用を決定しました。

F&eITシステムは、イーサネットベースの省配線・リモートI/O(Input/Output)システムで、模擬車両の運転機器からの入出力信号をいったん、超小型の入出力デバイスで受けて、超小型CPUモジュールでイーサネット信号に変換します。これにより、運転機器の入出力信号すべてを1本のイーサネットケーブルで制御計算機に渡すことができます。また、模擬車両が走行に伴って揺れ動く動揺機構を付加する場合も、ケーブルの扱いが簡素化され、設置が非常に簡単になります。

2009年からF&eITシステムを採用した運転シミュレータの納入を開始。すでに11システム(7月現在)が稼働しており、そのうち2システムを「鉄道博物館」に設置しています。

運転台背面の「ツナギ箱」内に設置されたF&eITのI/Oコントローラユニット。ここでイーサネット信号に変換されて、制御計算機と接続される。

209系電車シミュレータブロック図モーダルで開く

お客さまプロフィール

FAの実績で安心と信頼を確保

株式会社音楽館 代表取締役
向谷 実様
コンテックさんのF&eITシステムを使用した運転シミュレータは、2009年から納入しています。運転シミュレータでは、ハンドルを操作したときのノッチの信号を拾うには、1/60秒以上の応答性が必要で、警笛ペダルを踏んですぐに警笛音が鳴らないといけません。従来の省配線システムでは必要な応答速度が得られませんでしたが、F&eITシステムは十分に機能し、活躍しています。また、FA向けに作られているものなので、実績と安定性にも満足しています。

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