アナログ信号の入出力、デジタル信号のエッジカウント、デジタル信号 (ON/OFF) の入出力といった多彩なファンクションを搭載した「アナログ Gシリーズ」。実は単にいろいろな信号入出力ができるインターフェイスを装備しているだけに留まるものではありません。より高精度に…、より高速に…、よりリアルタイムに…、高度化するデータアクイジション (DAQ) のニーズを受けとめる、さまざまな最新技術と工夫が織り込まれています。
その真髄といえる「イベントコントローラ」の仕組みを解説しながら、アナログ Gシリーズがどんなアプリケーションを実現するか、パソコンシステムの可能性をどう広げたかをご紹介していきます。
「イベントコントローラ」とは、文字どおり出来事 (イベント) を支配するもの (コントローラ) です。簡潔に表現すれば、各ファンクションの動作とその因果関係を定義・管理して連動させる、いわば司令塔です。アナログ入力 (A/D変換)、アナログ出力 (D/A変換)、カウンタ、タイマの各ファンクションは、互いに依存関係を持たず独立しており、それぞれ動作条件の信号を受けて機能します。また、ある条件が成立した際に、それを信号で知らせる (イベントを発生する) 仕組みになっています。
アナログ Gシリーズは、これら各ファンクションの動作条件となる信号と各ファンクションが発生する信号の組み合わせをユーザープログラムで定義することができます。「イベントコントローラ」は、これら信号の交通整理をしながら実行する機能というわけです。
CPUや周辺デバイスの進化でパソコンは急激に高性能化していますが、複雑で時系列の大きなズレを許容しないハイエンドなデータ・アクイジション・システムにおいては、ワークステーションOS Windowsのリアルタイム性が問われる場合があります。「アナログ Gシリーズ」は、「イベントコントローラ」によって各ファンクションがハードウェアレベルで連動するため、OSの負荷状況やユーザープログラムの構造に依存しない、極めて誤差の少ない時系列処理が実現します。また、煩わしいトリガ信号の外部配線から開放されるのもシステム設計者にとってたいへん嬉しいことです。
ノイズ入りのシミュレーション信号を発生 (アナログ出力) させてフィルタ回路の入力とアナログ入力 ch0に接続。フィルタ回路の出力を測定 (アナログ入力 ch1 に接続) することでフィルタ前の信号とフィルタ後の信号を時系列で比較評価します。
ここではアナログ入力の変換開始と変換停止をソフトウェアのコマンド、サンプリングクロックをボードに内蔵したタイマ (クロックジェネレータ) とします。
アナログ入力の開始でアナログ出力を開始、アナログ入力の変換でアナログ出力を停止するように連動させます。
アナログ出力の変換開始条件を「イベントコントローラ出力」に設定、アナログ出力の変換停止条件も「イベントコントローラ出力」に設定します。
次に、開始側の「イベントコントローラ」の接続先をアナログ出力変換開始信号に、接続元をアナログ入力ソフトウェアスタートに設定します。また、停止側の「イベントコントローラ」の接続先をアナログ出力変換停止信号に、接続元をアナログ入力ソフトウェアストップ」に設定します。
アナログ入力のサンプリングクロックをアナログ出力のサンプリングクロックとして使用します。
アナログ出力のサンプリングクロックを「イベントコントローラ出力」に設定します。
クロック側の「イベントコントローラ」の接続先をアナログ出力サンプリングクロックに、接続元をアナログ入力内部クロックに設定します。
ソフトウェアのコマンドでアナログ入力とアナログ出力が同時にスタート、一定かつ同じ周期で連続サンプリングし、ソフトウェアのコマンドでアナログ入力とアナログ出力が同時にストップします。
2つのデバイスを使って、高速に変化する多数のアナログ信号を同期して測定 (アナログ入力)、時系列で相関を解析します。
アナログ Gシリーズは、同期コネクタを搭載した別のデバイスと連動させることができます。2つのデバイスのアナログ入力を連動させるには、一方をマスタモード、もう一方をスレーブモードに設定、2つのデバイスの同期コネクタ間を専用ケーブル(添付)で接続します。また、それぞれのデバイスの「イベントコントローラ」に対して、図のように設定していきます。