IoTセンサの種類と使い方(センサとIoT機器 連載第1回)

IoT (Internet of Things) と聞いて皆さんは頭の中にどんな映像が思い浮かべますか?

大都市や世界地図の上で情報が飛び交うスマートで未来的な映像を思い浮かべる方も少なくないと思います。「現場を可視化したい」「生産効率を上げたい」「故障の予兆を検知したい」といったテーマで、いざIoT化の実現に向けて取り組みをスタートとすると、まず「現場の設備からどうやってデータを集めるか」という実に泥臭い部分を解決しなければならないことがわかり、頭に思い描いていたスマートなIoTのイメージとのギャップに気づくことでしょう。設備のどこに何の「センサ」を取り付けるか。配線はどうするか。取得したい情報に最適な「センサ」を選ぶにはセンサの種類と特性を理解する必要があります。
ただ「センサ」を正しく選択できていても、センサごとに信号や通信規格がバラバラでは、変換するために余計な機器が必要になったり、余計なデータ処理が必要になったりします。インターフェイスに着目してセンサを選定することで、効率良くデータを集めることができますし、何よりトータルコストが抑えられます。

「センサ」と「IoT機器」に着目した解説コラムを全3回の連載でお届けます。ぜひIoTシステムの構築にお役立てください。今回はその第1弾「IoTに欠かせないセンサの種類と使い方について」と題して、インターフェイスに着目しながらIoTで使えるセンサを解説していきます。

目次

計測対象や用途によって選択するセンサの種類

センサにはどのような種類があるのでしょうか。計測対象ごとのセンサの種類と使用例を一覧表にまとめました。

計測対象 センサの種類 使用例
人・物体 人感センサ 人体の検出
光電センサ 工場内製品カウント
距離 距離センサ 物体との距離、水面レベル
温度 熱電対 表面温度・液体温度(高温)
測温抵抗体 表面温度・液体温度(低温)
赤外線温度センサ 表面温度(非接触)
温湿度 温湿度センサ 周囲温湿度
圧力 圧力センサ 油圧・空気圧
位置 GPS 衛星からの位置情報
ジャイロセンサ 物体の姿勢(傾きや角度)
エンコーダ 回転位置
ポテンショメータ 回転角度計測
加速度 加速度センサ 物体の動きや衝撃検出
振動 振動センサ モータ振動計測
加速度ピックアップ 物体の動きや振動計測
電力(交流電流) カレントトランス 設備電力監視
情報読み取り バーコードリーダ 製品情報読み取り

センサは、計測方法の違いで様々な種類があります。例えば、「物体検出」と一言で言っても、人体を検出する場合は「人感センサ」が最適ですが、対象の物体が工場内の製品の場合は、「光電センサ」のほうが適しています。

このように、計測対象が決まればセンサも一種類に定まるわけではなく、どのような用途かによっても、選択する種類は変わります。

センサによって異なる信号/通信規格 (インターフェイス)

センサによって出力信号(インターフェイス)が異なります。以下の表は、計測対象・センサ種類に対応したインターフェイスの例です。

計測対象 センサ種類 出力信号の例
物体検出 人感センサ デジタル信号
光電センサ パルス信号
温度 熱電対 アナログ電圧信号(温度補償が必要)
測温熱抵抗体 アナログ抵抗値
赤外線温度センサ

アナログ電圧信号
RS-485通信

温湿度

温湿度センサ
(IC搭載)

アナログ電圧信号
RS-485通信

圧力 圧力センサ アナログ抵抗値
位置 GPS

USB通信
RS-232C通信

ジャイロセンサ SPI、I2C通信
エンコーダ パルス信号
ポテンショメータ アナログ電圧信号
加速度 加速度センサ アナログ電圧信号
振動 振動センサ

アナログ電圧信号
アナログ電流信号

加速度ピックアップ アナログ電圧信号
電力、交流電流 カレントトランス アナログ電圧信号
情報読み取り バーコードリーダ

USB通信
RS-232C通信

センサの種類だけでなく、メーカーや製品によっては、インターフェイスが変わることもあります。例えば、温湿度センサでもアナログ電圧出力するものや、RS-485通信で行うものなどがあります。バーコードリーダもUSB通信で行うもの、RS-232C通信で行うものがあります。

さらに、センサとデータのやり取りを行うには、何らかの手段で通信を行うことが必要です。通信規格にも、シリアル通信や無線通信、フィールドネットワークがあり、システムの目的や必要な性能によって通信規格は異なります。

センサは、測定対象、精度はもちろんのこと、インターフェイスを考慮して適切に選定することが重要です。

センサのインターフェイスに注目しよう

IoTシステムには、様々なセンサが必要になります。
採用するセンサは、種類によってインターフェイスが大きく異なるため、センサとIoT機器をつなぐには、センサとIoT機器のインターフェイスに着目することが必要です。

センサとIoT機器のインターフェイスにはたくさんのパターンがあるため、考えなければならないことも多くあります。

様々な選択肢を提供するコンテック

ここまで、様々なセンサの種類を見てきました。
インターフェイスもセンサの種類により違いがあります。インターフェイスに対応するには、多数のユニットも必要です。

これらの課題を解決できるよう、コンテックでは様々なセンサと簡単に接続が行えるように各種インターフェイスに対応する製品を提供しています。
様々なインターフェイスをまとめて扱いやすくする製品を紹介します。

CONPROSYS nanoシリーズ

CONPROSYS nanoシリーズは、様々な種類のセンサを持つローカルデバイスをまとめるモジュール式リモートI/O機器です。色々なインターフェイスを持つセンサも、CONPROSYS nanoを介することで、簡単に接続を行いコントローラに入力することができます。

多くのローカルデバイスと直接I/Oをやり取りすることで、「マスタのCPUの負荷が高く通信トラフィックが多く発生する」といったトラブルも、プログラマブル機能搭載のCONPROSYS nanoに制御を委譲することで回避できます。

多数のインターフェイスを扱うIoTを使ったシステム構築を考える際、ぜひ導入を検討いただきたい製品です。

国際標準規格 IO-Link

センサの種類によるインターフェイスの違いに対応するのが面倒だと思われたでしょうか。統一された規格があればいいのに、と感じられたかもしれません。実はセンサをネットワークに接続するための国際標準規格が存在し、ヨーロッパを中心にその普及が進んでいます。

国際標準IEC 61131-9「IO-Link」がそのセンサ接続技術です。センサメーカ各社ではIO-Linkに対応したセンサを提供しています。センサはIO-Linkマスタに接続され、IO-Linkマスタは工場内のネットワークにセンサのデータを送信します。コンテックもIO-Linkマスタ製品をご用意しています。

CONPROSYS IO-Linkマスタ

本製品は、複数の産業用イーサネット・プロトコルに対応しているIO-Linkマスタです。8チャネルのIO-Linkポート(Class A)を持ち、本体スイッチの切り替えでPROFINET、EtherNet/IP、Modbus TCP、EtherCATなどのネットワークに接続することができます。

本製品の特徴として複数のプロトコルを切り替えて利用することが可能です。ネットワークの通信規格ごとに異なる型式の製品を購入必要はありません。また、IO-Linkでは接続されたチャンネル毎にそれぞれに独立した設定ができるため、効率よく入出力を構成することが可能です。本製品ではWebサーバー機能を搭載しているため、各種ネットワークの設定は、Webブラウザを介して簡単に設定できるようになっています。

また、IP67の防塵・防滴性能を持つため、水や粉塵がある環境でもご利用いただけます。悪条件下の現場にもおすすめできる製品です。

国際標準のセンサ接続技術であるIO-Linkですが、残念ながらすべてのセンサが対応しているわけではありません。現状では、使いたいセンサがIO-Linkに対応しておらず、それぞれのインターフェイスでの接続を考える必要があるでしょう。
次回は、もう少し詳しくセンサのインターフェイスからのデータ取得について、掘り下げて解説します。

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