AI(人工知能)におけるディープラーニング(深層学習)の代表的な応用例の一つが画像認識です。身近なところでは、スマホの顔認証などがあります。建物の管理や医療分野などさまざまなところに活用が期待されるAI。今回は、AIの画像認識に関わる応用分野について解説します。
目次
AIによる画像認識とは
AIによる画像認識とは、画像の中に含まれる文字や人の顔、モノなどを、AIを利用して識別する技術です。AIに数多くの画像を読み込ませて学習させることで、識別の精度を上げていきます。画像や音声などさまざまなデータの中から一定の意味を持つものを認識する技術全般を指して「パターン認識」と呼びますが、画像認識はパターン認識の一種です。
AIの画像認識には、AIに大量の画像データを読み込ませて学習させる「機械学習」の技術が用いられており、継続的に蓄積される画像データを学習することで画像認識の精度は向上していきます。
AIによる画像認識の代表的な推論モデル
AIの画像認識を用いた代表的な推論モデルを4つご紹介します。
人物、物体、車両検知
画像の中から、人物や物体、車両を検知する推論モデルです。人物検知は、街中や広場などの混雑度や工事現場で作業中の人物の行動を確認します。車両検知は高速道路の混雑状況把握などに利用されています。
人体の骨格検知、姿勢検知
人体の頭・首・手などの部位情報を認識して、人体の骨格や姿勢を検知する技術です。人体の部位だけでなく、部位同士の最適なつながりを検出する部分でディープラーニングの技術が使われています。かつて骨格検知や姿勢検知には、奥行きを推定できる高価なカメラが必要でしたが、AI技術の進歩により、普通の単眼カメラでも検知可能となりました。
顔認証
2Dや3D画像情報から目・鼻・口などの情報を認識し、あらかじめ顔情報を登録したデータベースと照合して特定の人物を認証する技術です。コロナ禍以降では、マスク着用でも認識できる機能や検温機能を持つ製品もあります。
医療画像(CT/MRI)の疾患画像判別
医療画像(CT/MRI)より、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)などの疾患部位を判別する技術です。近年は、CTやMRIの高解像度データを取得できるようになりました。大量に蓄積した高解像度の画像データをAIが学習することで、疾患を判別する技術も精度が飛躍的に向上しています。
上記のような推論モデルを単独、または複数組み合わせて活用し、具体的なシステムが構築されます。
AIの画像認識技術を活用した一般的な応用例
AIの画像認識技術を活用したシステムは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。以降では、AIの画像認識技術を活用した一般的な応用例を5つご紹介します。
建物の入退出管理
AIの画像認識による生体認証技術を用い、建物の入退室を管理するシステムです。入退出管理システムでは、顔認証や虹彩(こうさい)認証、指紋認証といった生体認証技術を使い、認証機器にタッチせずに個人を特定し入退室を実現できます。生体認証には、それぞれに強み・弱みがあるため、複数の生体認証を組み合わせて認証するシステムもあります。
領域侵入検出
車両や物体、人物検知を組み合わせ、指定した領域への侵入を検出するシステムです。領域侵入検出システムは、駐車違反車両や踏切への侵入、立ち入り禁止区域への侵入検知などに活用されています。
電車内防犯(不審行動検出)
犯罪の検知に利用されてきた防犯カメラの画像を利用して、電車内で不審行動を取る人物を事前に検出するシステムです。不審行動検出システムを導入することで、テロなどの犯罪を未然に防ぐことも期待できます。
不審行動検出システムでは、人体の微細な揺れから精神状態を検知。行動パターンの定量化や自動分類などの技術に、AIの画像認識が用いられています。
道路の交通状況モニタリング
AIカメラなどを用いて車両を検知し、交通状況をモニタリングするシステムです。リアルタイムで、交通量の増加といった道路状況を道路標識などで表示できます。また、悪天候時の路面状態や視界の悪さなどを測定する技術にも、AIの画像認識が活用されています。
工場内での製品、食品の良否判定
工場内の生産ラインで、外観検査による良否判定です。電子基板上の部品実装不備や、工業製品の外観上の傷の有無等で製品の良否を判定します。
特に肉、魚などの食品は工業製品とは異なり1品毎に形が異なるため、従来のルールベースでの判定が難しく、AIによる良否判定がより有効な分野として注目されています。
AIの画像認識に関連したコンテックの製品をご紹介
コンテックでは、AI画像認識システムを導入するためのエッジAIコンピュータや、独自のモデルによるAI手洗い判定システムを用意しています。
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