モーションコントロールの概要と基礎知識を分かり易く解説します。
モーションコントロールとは、「動きを制御する」という意味を持っています。その代表として、各種モータによる位置制御などがあげられます。電気的エネルギーをモータに与えることにより、モータは動作し運動的なエネルギーに変換します。その技術は、工作機械、ロボット制御、半導体製造装置、射出成形機やデジタル家電検査装置などの中核として大きな役割を担っており、この分野における設備投資は近年大きく成長しています。
コンベヤの回転制御 多軸ロボットの軸制御
回転テーブル 位置決め制御
XYテーブル 位置決め制御
指定のパルス数や周波数でパルス列を出力する機能を搭載したボードです。目的位置、速度、加減速レートなどの動作パラメータに応じた制御パルスを自動的に出力することができます。位置決め制御に必要な各種リミット入力機能も備えています。モータ本体の制御は、モータドライバが行います。モーションコントロールボードは、このモータドライバユニットに対してパルス信号を出力し、モータを制御します。パルス入力タイプのステッピングモータやサーボモータと接続して使用します。
モーション制御デバイス製品一覧
ステッピングモータおよびサーボモータを駆動するための制御ユニットです。このドライバユニットにたいして制御信号の設定/取得を行うことにより、モータ制御を行います。
高精度な位置決めが可能なモータです。入力パルスに同期して、ステップ状に一定角度づつ回転します。ステッピングモータは、入力パルスに対して正確に回転するため、回転量の検出が必要の無い高精度な位置決めが可能です。1ステップ(1パルス)=1.8°、0.72°、0.36°などの分解能が一般的です。
ステッピングモータでモータドライバに1パルスが入力された時にモータが動く角度のことです。1ステップ(1パルス)=1.8°、0.72°、0.36°などが一般的となっています。パルス数で回転量、パルス周波数で回転速度を指定します。
例)ステップ角0.72°の場合にキャリアを50mm移動させるために必要なパルス数は?
ステッピングモータの回転速度はパルス信号の速度に正確に比例します。回転速度とパルス信号の速度の関係は、以下の公式にて求めることができます。パルス数で回転量、パルス周波数で回転速度を指定します。
モータ回転速度(r/min) = ステップ角(°) / 360° × パルス速度(周波数:Hz) × 60
ステッピングモータにおいて、急激な速度変化(加減速)や過負荷時にパルスに同期してモータが回転できず、停止や位置ずれが発生することを脱調といいます。近年のステッピングモータは、脱調をしないような機構となっています。
サーボモータは、ACサーボモータとDCサーボモータがあります。主に製造工場に多く使用されています(工作機械や産業用ロボットなど)。サーボモータは、回転角度を検出するエンコーダーを備えており、クローズループにて高精度の位置決めを行ないます。当社のモーションコントロールボードは、パルス入力タイプのサーボモータに対応しております。
当社のモーションコントロールボードは、フィードバック制御用のカウンタ機能を搭載しています。インクリメンタル形(加算・減算動作)のエンコーダを接続して、高精度なフィードバック制御を行うことができます。なお、フィードバック制御自体は、プログラミングが必要です。入力回路は、2相(A相/B相)、および単相(UP/DOWN)に対応しています。差動出力、TTLレベル出力、オープンコレクタ出力に対応したエンコーダが使用可能です。
当社のモーションコントロールボードは、パルス列入力方式のモータドライバに対応した以下の出力方式を持ちます。
正方向用(CW)、負方向用(CCW)の独立した2つのパルス信号を出力して制御する方式です。CW(Clock Wise)は時計回り(右回転)、CCW(Counter Clock Wise)は反時計回り(左回転)を示します。
移動量と速度を制御する1つのパルス信号と、回転方向を決定する信号で制御します。
OUT(進みパルス出力)信号とDIR(遅れパルス出力)信号が出力されます。DIRがOUTと位相が+90°異なるとき、正方向(時計回り)に動作(回転)します。DIRがOUTと位相が-90°異なるとき、負方向(反時計回り)に動作(回転)します。
当社のモーションコントロールボードは、複数軸間の同時開始/停止の同期制御が可能です。また、専用の同期制御ケーブルを接続することにより、最大16枚(128軸)の同期制御が可能です。8軸ボードの場合、4軸ごとにグルーピングが可能です。
モータ(キャリア)の停止・減速ポイント・原点などを検出する機能です。高度な位置決め制御を行うことができます。
ドライバユニットには、アラーム信号の発生と同時に、アラームコードを送出するものがあります。アラームコードはアラームが発生された原因を示します。アラームコードをアプリケーションで受け取ることができるので、各アラームコードに対応する(応急)処置方法を画面に出力することにより、オペレータが早急に、決められた(応急)処置を施すことが可能です。
サーボモータおよびステッピングモータのドライバユニットは、過負荷、過電圧、過熱を保護するために、モータを停止させる場合があります。そのとき、ドライバユニットからボード(アプリケーション)にたいして、アラーム信号を送出します。アラーム信号を受け取ると、同期設定されている軸の動作も停止させます。アプリケーションがアラーム信号を受け取ると、そのシステムを切り離して処置を行い、アラーム信号を解除する必要があります。このとき、アラームクリア信号を送出します。
ステッピングモータで位置決めを行う場合、停止状態を保持するためにホールドオフ信号を利用します。(自動的に)ボード内部でモータ動作時にホールドをOFF(保持しない)し、モータ停止時にホールドをON(保持する)します。
サーボモータでは、ドライバユニット内部に偏差カウンタを持ち、これが入力パルスとフィードバックパルスの偏差を計数する働きを持っています。パルスがドライバに入力されると、カウンタにはパルスが積算され(たまりパルス)、モータが回転するとフィードバック信号により、カウンタのたまりパルスを減算し、たまりパルスが0になるように位置決め制御をおこないます。原点復帰動作を行った場合は、原点検出時にモータを即停止させるため、偏差カウンタにたまりパルスが残っている可能性があります。このとき、ドライバユニットに偏差カウンタクリア信号を設定することにより、完全に原点復帰が完了します。
PTP動作とは、ある地点から別の地点までの移動(Point To Point)動作です。簡単な位置決め制御に利用します。当社のモーションコントロールボードは、動作中に任意のタイミングで停止位置の変更が可能です。右図は、加速・定速動作中に新データを最初の目標位置より遠方に変更した場合です。例えばスタート位置から3000パルス位置を指定して動作中、一旦停止することなく5000パルス位置への変更が可能です。
JOG動作とは、移動距離を指定しない移動動作です。手動でモータの位置決めを行う際に利用します。±LIM信号の入力または、停止命令を出すまで連続してモータを動作させます。動作中に任意のタイミングで速度と加減速時間の変更が可能です。
ORG(原点復帰)動作とは、モータを原点に移動させるための動作です。当社では、下記のユニークな原点復帰が可能です。原点復帰動作の設定を行い、動作タイプにORG動作を指定して動作スタートすると、原点復帰が終了するまでドライバが自動的に制御を行います。 従って、原点復帰動作のロジックをお客様が作成する必要が無く、簡単に原点復帰動作を行うことが可能です。
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パルスを一定の速度(周波数)で出力します。装置は一定速度で動きます。起動・停止時は急激な速度変化が生じます。
起動時、停止時に、一定のレートで速度を加速(減速)させ、起動・停止時のショックを吸収させる動作を言います。台形速度制御とも言います。
直線加減速動作を更にショックを少なく速度制御する方式です。加減速開始時と終了時の加速度を小さくすることにより動作開始時、停止時の振動を軽減します。
2軸以上を制御するときに開始点から目的点までの動かし方は、3つの方式があります。
まずX軸を(Xt)点まで移動させ、その後Y軸を(Yt)点へ移動させます。
X軸、Y軸を同期制御しながら、合成された軌跡が直線になるように(Xt, Yt)点へ移動させます。
円弧の中心座標と円弧上の目的点を指定し、X軸、Y軸を同期制御しながら、合成された軌跡がプログラムされた軌跡を描くように(Xt, Yt)点へ移動させます。
当社のモーションコントロールボードには、モータ動作に必要な、移動距離、移動速度および加減速レートなどのパラメータ群を一つのフレームとして扱い、連続する複数のフレームをボード内のメモリにダウンロードして、実行することにより、従来のモーションコントロールボードにはない、大きなメリットがあります。 決められたパターンを実行する制御系では、複雑な制御でもパソコンのCPUの負担なしに高速制御が可能です。 各フレームの連続切り替え動作は、ハードウェアで行いますので、次動作切り替え時のアイドリング時間は、1μsec以内です。 したがって、高効率なシステムが構築できます。各種補間制御と組み合わせれば、多軸の連続的な補間制御が可能です。
当社のモーションコントロールボードは、汎用入力(制御信号入力)を1軸あたり7点、汎用出力(制御信号出力)を1軸あたり3点を搭載しています。
IN1~IN6、OUT1~OUT3の各種入出力信号によりボード側で自動的に制御を行います。