産業用コンピュータの基礎知識(ストレージ)

SSD (Solid State Drive) とHDD (Hard Disk Drive)

SSDはSolid State Drive (ソリッドステートドライブ) の略で、コンピュータのデータを記録するストレージデバイス (補助記憶装置) です。HDD (Hard Disk Drive) と使い方は同じですが、SSDとHDDでは読み書きする仕組みが異なります。HDDは高速回転する磁気ディスクに磁気ヘッドを動かしてデータを読み書きします。SSDより記憶容量の大きな製品があり、容量単価が安いというメリットがありますが、有寿命部品のスピンドル (モータ) を使用しているため寿命があり振動・衝撃に弱いというデメリットがあります。一方のSSDは半導体素子 (NAND型フラッシュメモリ) へ論理的にデータを読み書きするスピンドルレスのデバイスです。振動・衝撃に強く、無音で消費電力が少ないというメリットがある一方で、HDDに比べると容量単価が高く、データ書き込みによる半導体素子の劣化から書き換え寿命の存在がデメリットとして挙げられます。書き換え寿命は下表のとおり半導体素子の違いにより異なります。

盤用クーラー 適温低湿 高温多湿

SLC (Single Level Cell) Q-MLC (Quality MLC) / iSLC MLC (Multi Level Cell) TLC (Triple Level Cell)
P/Eサイクル (書き換え寿命) ※1 ★★★★
60,000回/ブロック
★★★
20,000回/ブロック
★★
2000~3000回/ブロック
★★
2000~3000回/ブロック
価格 ★★ ★★★ ★★★★
容量 ※2
4GB ~ 16GB
★★
16GB ~ 64GB
★★★
32GB ~ 256GB
★★★★
128GB ~ 2TB
用途 データロガー、24時間稼働、10年以上の長期運用 信頼性重視、長期運用 OS起動ドライブ、ライトフィルタ設定 OS起動ドライブ、ライトフィルタ設定
  • ※1
    目安であり製品によって異なります。
  • ※2
    当社の製品ラインアップにおいて (2021年10月現在)

CMR (Conventional Magnetic Recording) と SMR (Shingled Magnetic Recording)

CMR (Conventional Magnetic Recording) 方式とは、SMR方式とは異なりデータを記録するトラックを重ねず隙間を設けて記録していく従来からとられている方式です。SMR方式の登場により、SMR方式と区別するために従来方式をCMR方式と呼ぶようになりました。SMR方式に比べ、不連続な領域を読み書きする「ランダムアクセス」に強く、長期間の使用でも速度低下が発生しないのがメリットです。

SMR (Shingled Magnetic Recording) 方式とは、データを記録するトラックの一部を屋根瓦のように重ね合わせることで記録密度を上げた方式です。安価で大容量なのがメリットです。NVR (ネットワークビデオレコーダ)、防犯カメラ、監視カメラの映像録画、データロガーのような連続した領域を大量に読み書きする用途に適していると言えます。不連続な領域を読み書きする「ランダムアクセス」に弱く、長期間の使用で速度低下が発生する点がデメリットです。RAID構成にも適していません。
コンテックの産業用コンピュータは、長期使用・安定重視の観点からすべての製品でCMR方式のHDDを採用しています。(2022年10月現在)

  • 特定顧客向け製品は除きます。