用途や種類からインターフェイス回路の特性まで、デジタル入出力について、分かりやすく解説します。
パソコンにデジタル信号をパラレル(並列)に入力・出力する機能を増設するためのインターフェイスボードです。デジタル入出力製品を使えば、各種制御回路のリレーや操作スイッチ、測定器などの状態を監視(読み出し)をしたり、ランプやLED、7セグメント表示器やリレーの制御出力のほか、PLC(シーケンサ)などのコントローラとのデジタル通信用のインターフェイスとしても使用できます。
ボード内部の論理回路と入出力回路をフォトカプラで絶縁したタイプです。信号(情報)が光に変わり伝達され、操作回路に発生した電気的外乱の侵入を防ぐことができます。ただし、フォトカプラを駆動するために外部からDC電源の供給が必要です。デジタルスイッチや表示器など、操作回路が5 - 48VDCの弱電機器との接続に使用します。
ボード内部の論理回路と入出力回路をフォトカプラで絶縁
絶縁素子に高速フォトカプラを使用して信号の伝達スピードを高速化したタイプです。高速な入出力が要求される場合に使用します。
標準タイプは、応答速度200μsec以内となります。
内部の論理回路とは絶縁されたDC電源を搭載したタイプです。フォトカプラの駆動と操作回路への電源供給が可能ですので、電源を用意できない場合に便利です。
出力回路にリレー接点を使用したタイプです。ボード内部の論理回路と出力回路は、このリレー接点によって絶縁されています。電流を流す方向に制限がありませんので、AC(交流)負荷も接続できます。操作回路がAC(交流)、または48VDCを超える強電機器を直接制御する場合に使用します。
出力回路にリレー接点を使用
ボード内部の論理回路と入出力回路を絶縁せずに直結したタイプです。フォトカプラ絶縁入出力タイプに比べて高速に応答します。ただし、電気的外乱の影響を受けやすいため、ノイズ環境が良好で配線距離を短くできる場合に適しています。小型リレーやコントローラなど、入出力回路が5VDC/3.3VDCやTTL/LVTTLの機器との接続に使用します。
ボード内部の論理回路と入出力回路を絶縁せずに直結
ボード内部の論理回路とi8255 PPIまたは同等の双方向入出力回路を絶縁せずに直結したタイプです。入出力点数(方向)をプログラムで8点単位に変更することができます。入出力回路がTTL(5VDC)またはLVTTL(3.3VDC)で、双方向の入出力が必要な機器との接続に使用します。
デジタル入出力の出力回路は、用途や電気的な違いから以下のような種類があります。
半導体素子であるトランジスタを使用して、DC負荷を駆動・開閉する出力回路です。接点出力と違い、実接点がないことから無接点出力とも呼ばれます。トランジスタの代表的なものに、N型半導体とP型半導体で構成されるNPN/PNPトランジスタがあります。
NPNトランジスタは、エミッタとコレクタをN型半導体、ベースをP型半導体で構成しています。また、PNPトランジスタは、エミッタとコレクタをP型半導体、ベースをN型半導体で構成しています。
NPNトランジスタとPNPトランジスタの違い
NPNトランジスタを使用したシンク出力形式での電流増幅
ベースを入力、エミッタを出力とすれば、ベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)を合わせたエミッタ電流(IE)をソース出力することも可能です。
NPNトランジスタを使用したソース出力形式での電流増幅
PNPトランジスタは、NPNトランジスタと電荷の正負が逆になるような構造となっています。 ベースに負の電位、エミッタに正の電位を接続(SWB = ON)した場合、エミッタの正孔(正の電荷)がベースに流れ込み、ベース電流(IB)が発生します。(電流は正孔の流れと同じ方向に流れます。)正孔の大半はコレクタまで流れ込み、コレクタ電流(IC)が発生します。 NPNトランジスタと基本的な性質は同様ですので、ベースを入力、コレクタを出力として出力電流の増幅に利用されます。
PNPトランジスタを使用した電流増幅
出力トランジスタのコレクタが出力端子となり、開放(オープン)状態になっている出力回路です。内部論理は「ON(短絡):1、OFF(開放):0」です。出力トランジスタが「ON」(負荷を作動)したときに、電流が負荷から出力端子に流れ込むシンクタイプです。一般的な12 - 48VDCの弱電機器への信号出力に使用します。
出力トランジスタのコレクタが出力端子となり、開放(オープン)状態になっている出力回路
トランジスタの1種であるFET(電界効果トランジスタ)を使用した出力回路です。出力FETのドレイン端子が出力となり、開放(オープン)状態になっています。内部論理は「ON(短絡):1、OFF(開放):0」です。出力FETが「ON」(負荷を作動)したときに、電流が負荷から出力端子に流れ込むシンクタイプです。接続、使用方法は「フォトカプラ絶縁オープンコレクタ出力(電流シンクタイプ) 」と同じです。
FETのドレイン端子が出力となり、開放(オープン)状態になっている出力回路
出力トランジスタのエミッタが出力端子になっている出力回路です。内部論理は「ON(短絡):1、OFF(開放):0」です。出力トランジスタが「ON」(負荷を作動)したときに、電流が出力端子から負荷に向けて流れ出るソースタイプです。地絡事故に対し安全性が高いことからヨーロッパ諸国で好まれるソースタイプで12 - 48VDCの弱電機器への信号出力に使用します。ソースタイプの出力ではPNPトランジスタを使用する回路構成も存在しますが、当社製品では主にNPNトランジスタを使用して回路を構成しております。
出力トランジスタのエミッタが出力端子になっている出力回路
出力トランジスタのコレクタが出力端子となり、開放(オープン)状態の出力回路で、入力回路側でプルアップします。内部論理は「Low(短絡):1、High(開放):0」の負論理です。入力回路がTTLの機器や5VDCの機器への信号出力に使用します。
出力トランジスタのコレクタが出力端子となり、開放(オープン)状態の出力回路
出力トランジスタのコレクタが出力端子になっている出力回路です。内部論理は「Low:1、High:0」の負論理です。入力回路がTTLの機器や5VDCの機器で、操作回路の配線が長くなる場合や、絶縁したい場合に使用します。
フォトカプラで絶縁され出力トランジスタのコレクタが出力端子になっている出力回路
リレー接点を使用して、内部の論理回路と絶縁した出力回路です。実接点によって、負荷を駆動・開閉することから、有接点出力とも呼ばれます。電流を流す方向に制限がないので、DC負荷でもAC(交流)負荷でも接続できます。AC(交流)、または48VDCを超える強電機器への信号出力に使用します。
リレー接点を使用して、内部の論理回路と絶縁した出力回路
デジタル入出力の入力回路には、以下のような種類があります。
トランジスタ出力や操作回路がDCの接点出力回路と接続が可能な入力回路です。
フォトカプラのカソード側が入力端子になっている入力回路です。シンクタイプのトランジスタ出力、またはリレースイッチ等からの出力信号を入力します。内部論理は「ON(短絡):1、OFF(開放):0」です。入力端子は、電流が流れ出るソ-スタイプです。一般的な12 - 48VDCの弱電機器からの信号入力に使用します。
フォトカプラのカソード側が入力端子になっている入力回路
フォトカプラのアノード側が入力端子になっている入力回路です。ソースタイプのトランジスタ出力、またはリレースイッチ等からの出力信号を入力します。内部論理は「ON(短絡):1、OFF(開放):0」です。入力端子は、電流が流れ込むシンクタイプです。地絡事故に対し安全性が高いことからヨーロッパ諸国で好まれるタイプです。12~48VDCの弱電機器からの信号入力に使用します。
フォトカプラのアノード側が入力端子になっている入力回路
トランジスタのベースが入力端子になっており、5VDCでプルアップされている入力回路です。内部論理は「Low:1、High:0」の負論理です。出力回路がTTLの機器や5VDCの機器からの信号入力に使用します。
トランジスタのベースが入力端子になっており、5VDCでプルアップされている入力回路
フォトカプラのカソードが入力端子になっている入力回路です。内部論理は「Low:1、High:0」の負論理です。出力回路がTTLの機器や5VDCの機器で、操作回路の配線が長くなる場合や、絶縁したい場合に使用します。
フォトカプラのカソードが入力端子になっている入力回路
i8255 PPI(または相当)の入出力回路です。内部論理は「Low(短縮):0、High(開放):1」の正論理です。入出力回路がTTLの機器や5VDCの機器、またはTTL(5VDC)/LVTTL(3.3VDC)の双方向の入出力が必要な機器との信号入出力に使用します。
i8255 PPI(または相当)の入出力回路
フォトカプラ絶縁電圧出力(電流シンクタイプ)の出力端子とフォトカプラ絶縁入力(電流シンク出力対応タイプ)の入力端子を重ね合わせて一つの端子で信号の入出力双方を可能とした回路です。内部論理は入出力ともに「Low:1、High:0」の負論理です。ケーブル両端の端子と入出力端子を接続し、双方向の信号入出力を行うことでケーブルの導通確認に使用することが可能です。
尚、内部で入力端子と出力端子が接続されているため、出力回路はオープンコレクタ出力とはなっておらず、出力部電圧のレベルシフトには対応していません。 複数の出力を接続して「ワイヤードオア接続」出力することは可能ですが、出力OFF時でも入出力端子は電位を持っており、開放(オープン)状態とはなっておりません。
双方向回路同士の接続例
リレーのON/OFF制御であれば、通常その装置の数が必要な出力点数となります。制御したいリレーが10個の場合、出力点数が10点以上のボードをお選びください。
スイッチのON/OFF監視であれば、通常その装置の数が必要な入力点数となります。監視したいスイッチが20個の場合、入力点数が20点以上のボードをお選びください。
一般的な10進や16進のタイプであれば、通常1桁につき4ビット(4点)の出力が必要となります。3桁の7セグメント表示器の場合、出力点数が12点(4点×3桁)以上のボードをお選びください。
一般的な10進や16進のタイプであれば、通常1桁につき4ビット(4点)の入力が必要となります。3桁のデジタルスイッチの場合、入力点数が12点(4点×3桁)以上のボードをお選びください。
一般に入力点数は1回転の分解能に関係します。例えば、1回転を256分解するタイプであれば、8ビット(256 = 28)のバイナリデータが出力されてきます。入力点数が8点以上のボードをお選びください。
ワイヤーハーネスの導通試験を行うには、前述のフォトカプラ絶縁電圧出力(電流シンクタイプ)の出力端子とフォトカプラ絶縁入力(電流シンク出力対応タイプ)の入力端子を重ね合わせて一つの端子で信号の入出力双方を可能とした回路が適しています。すべての入出力ピンが入力としても出力としても使用可能であるため、結線仕様、入出力点数が異なるケーブルの導通試験が一台の製品で行えます。