ファシリティソリューション企業としての新しいステージを目指し、刷新されたNTTグループのロゴを掲げるエントランス
地震時の建物安全度を即時判定 震災の教訓から誕生した「揺れモニ」
エンジニアリングとICTの力を統合し、建物や設備を支える事業を展開しているNTTファシリティーズ。大切な建物や設備の安全を脅かす要因の一つが地震です。「東日本大震災の際には地震直後から顧客であるビルオーナーから多数のお問い合わせがあり、特に超高層ビルでは高層階が大きく、長く揺れ続けたため、不安を訴える声が多く寄せられました。そのようなお声に対し、明らかな危険はないと認識しつつ、客観的に根拠を示す方法がなく、とてももどかしい思いをしたのです。」株式会社NTTファシリティーズ サービスイノベーション部サービス開発部門の松下剛史担当課長は当時を振り返りそう話します。その経験から、ビルオーナーにヒアリングを重ね、建物の安全情報を伝えるサービスのニーズが明確となり、開発がスタートしました。
もともとNTTグループでは通信を途絶えさせないという使命感から地震観測ネットワークが構築されていて、さまざまなノウハウを持っています。しかしながらそこで使われている高精度な地震計は非常に高価で、お客さまにご提供するには現実的ではなかったといいます。そこで、地震により建物各階に生じた変形の大きさを測定し、建物ごとの構造設計情報と掛け合わせて損傷度合いを解析する「構造ヘルスモニタリング」技術に特化した加速度センサを独自に開発。そうして誕生したのが建物安全度判定サポートサービス「揺れモニ」です。建物の各階に設置した加速度センサのデータを24時間365日モニタリングし、エッジコンピュータでデータを集約して地震の際にはリアルタイムで階ごとの危険度を判定します。
また、管理者やビルオーナーが地震発生時に遠隔地にいることも想定し、メールで状況を通知する機能も盛り込まれました。2年半ほどの開発期間を経てリリースされた「揺れモニ」はその後多くのビルに導入されました。ところが、運用開始から数年が経ち、ある深刻な課題に直面します。
システム構成

部品交換作業が業務を圧迫 ボックスコンピュータ導入で課題解消へ
課題の一つは、DX化推進の動向から、メール通知だけではなく、クラウド経由で状況を「見える化」してほしいというニーズが高まってきたこと、そしてもう一つは、エッジコンピュータのメンテナンス問題でした。松下氏は「当時は、ノートPCを使用していました。ハイスペックではありましたがあくまでもオフィス用のものでした。24時間365日ずっと稼働するという想定で設計されていないため、システムが不安定になることがあり、安定稼働のため1日1回自動で再起動をかけるという運用を行っていました。ただ、再起動中にたまたま地震が発生してしまう可能性はゼロではありません。高い信頼で安心をお届けするためにもこの問題を何とか解決したいという思いがありました。加えて、エッジコンピュータの部品が経年劣化により次々と交換の必要に迫られるという事態が発生し、運用上の大きな負担となっていました。これらのことが契機となり、大規模な改修を行うことが決定したのです。」と話します。
エッジコンピュータの選定にあたっては、安定した連続稼働が求められることから、早い段階で産業用コンピュータへの入れ替えが決定し、次の3つの観点から各製品の比較検討が行われました。
入れ替えの主目的である安定性と耐久性に優れること
設置スペースは建物ごとに異なるため、できるだけコンパクトなサイズであること
性能とコストのバランスがいいこと
そして最終的に開発・運用チームの総意で選ばれたのが「ボックスコンピュータ BX-T1000」でした。さらに、NTTグループの研究所内にある三次元振動実験台で東日本大震災時をはじめ多くの実地震時の建物の揺れを忠実に再現し、その環境下での耐久試験を経て正式導入が決まりました。
期待以上の成果を実現 今後のサービス拡大への貢献も
ファンレスでコンパクトなサイズである「BX-T1000」の置き換えはスムーズに進み、再起動による不安も解消され、現在約200箇所でクラウドサービスを備えた新しい「揺れモニ」が稼働しています。「大規模改修から数年が経ちますが、マシントラブルはこれまで一度もありません。結果として、頻繁に部品交換に赴いていた時と比べて現地対応が激減しました。安定稼働を期待してはいましたが、それでも多少の問題は起こるだろうと想定していたので、これはうれしい誤算でした。」と松下氏は「コンテックのボックスコンピュータ」の安定性を高く評価。
将来的には階ごとの危険度にとどまらず、特定の壁や柱といったレベルにまで判定を可能にし、さらに他のIoTセンサとも連携して、地震以外の災害時においても建物全体の状態を総合的に判断・情報提供をするサービスを目指したいといいます。
「『BX-T1000』導入後も実際にいくつか大きな地震が起こっています。その際、みなさんがおっしゃるのは『安全が確認できてよかった』ということです。つまり、私たちのサービスは安心をお届けするものだと考えています。災害時には何が起こるかわかりませんから、現場のエッジコンピュータが安定稼働しているという信頼性は極めて重要なポイントなのです。」と、松下氏は災害時の安心を支えるパートナとして「BX-T1000」に揺るぎない信頼を寄せています。
導入のポイント
課題
東日本大震災での経験から誕生した「揺れモニ」に当初採用されたエッジコンピュータは連続稼働ができず定期再起動が必要という問題がありました。加えて経年劣化により次々と部品交換の必要に迫られ、その作業が大きな負担に。課題解決のため産業用コンピュータ導入が検討されることになりました。
成果
「BX-T1000」導入後は安定した連続稼働を実現。導入前の経験から多少のマシントラブル対応を見込んでいたものの、現在までトラブルは0件と期待以上の成果を上げています。また、さまざまな設置環境に対応できるファンレスのコンパクト設計も高評価を得ています。
お客さまプロフィール
- 株式会社NTTファシリティーズ
サービスイノベーション部サービス開発部門
担当課長 松下 剛史氏
- 一級建築士・構造設計一級建築士の資格を持ち、企画段階から困難の多かった開発、そして運用フェーズまで、専門家としての見地で「揺れモニ」を支えている。今後予定されている新たなOSへの切り替え時にもボックスコンピュータを採用する意向とのこと。
- 株式会社NTTファシリティーズ
- 「サステナブルな未来の実現」に貢献することを目指し、建築、エネルギ、ICTなど、さまざまな分野のスペシャリストによる建物・設備の設計・コンサルティングや管理サービスを展開している。
- 建物安全度判定サポートサービス 揺れモニ®
- 建物各階に加速度センサを設置して地震時の揺れを計測し、建物の構造体( 骨組み) の安全度を速やかに3段階評価することで、 地震被災直後における迅速な判断やその後の効率的な復旧対応をサポートする構造ヘルスモニタリング※サービスです。
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