工場の省配線を実現するリモートI/O入門
耐環境に強い「Robust I/O」で実現する次世代制御【後編】

Japan

従来の工場配線では、制御設計や設備立ち上げを担うエンジニアの多くが産業用PCやPLCなどの制御コントローラと制御盤の入出力部分を直接接続する方式が広く用いられてきました。
しかし、接続する機器が増えるほど盤内の配線が多くなり、機器との距離によって配線が長くなるなどの課題もありました。ノイズや断線などの不具合が発生した場合、原因の切り分けや復旧対応にかかる負担も大きくなります。
こうした課題の解決策として、近年は省配線による立ち上げ工数削減や保全効率向上への要求により、「リモートI/O」の国内需要が高まっています。
本記事では、前後編に渡ってリモートI/Oの基本的な仕組みを紹介したうえで、具体策として耐環境性に優れたコンテックの「CONPROSYS® Robust I/Oシリーズ」(※以下、Robust I/Oシリーズ)を用いた省配線の考え方や、組み合わせやすいPLC制御のポイントを解説します。


関連記事:工場の省配線を実現するリモートI/O入門 耐環境に強い「Robust I/O」で実現する次世代制御【前編】

リモートI/Oを活かす産業用PC・PLCの役割と課題

設備を制御するシステムでは、入力信号に応じて処理手順を判断し、出力を制御するための「制御ロジック」を実行する装置が必要です。こうした役割を担う機器として、産業用PCやPLCなどの制御コントローラが挙げられます。
従来はPLCが広く利用されてきましたが、近年はコスト、拡張性、ITシステムとの連携といった観点で、要件に合わないケースも出てきています。
そのため、近年では産業用PC上でPLC機能を実装するソフトウェアPLC(PCベースPLC)が注目されています。

PLCとソフトPLCの違いは?機械制御の中心となる頭脳の役割

PLC(Programmable Logic Controller)とは、工場などの生産現場で導入される機械制御に特化した産業用の制御コンピュータです。
主にシーケンス制御に用いられ、センサ信号などの入力条件に応じて、あらかじめ定めた手順でモータやバルブなどの出力を切り替えなが装置を動かします。
例えば洗濯機では、運転開始をきっかけに「給水→洗い→すすぎ→脱水」といった工程を順番に進めますが、PLCも同様に、入力条件に応じて所定の手順で装置を動かします。
生産設備で使われるPLCは、24時間365日の連続稼働を前提とするケースが多く、途中で停止しないように厳しい性能評価をクリアする必要があります。そのため、産業用途に適した設計が施されており、現場のI/O機器との親和性が高い点も特長です。
一方、ソフトPLCは、PLCの制御機能を専用ハードウェアではなく、産業用PCなどの汎用プラットフォーム上でソフトウェアとして実現する方式です。
制御ロジックの考え方はPLCと共通で、入力条件に応じて出力を切り替える点は同じです。
異なる点は、制御を担う実装形態にあります。PLCは専用機として提供されるのに対し、ソフトPLCは汎用プラットフォーム上で動作するため、用途に応じた構成の変更や機能追加を検討しやすい場合があります。

従来PLCの課題:高価・大きい・IT連携が弱い

PLCは生産設備の制御で広く使われてきた一方で、「コストが上がりやすい」「構成が大きくなりやすい」「上位システムとの連携に手間がかかりやすい」といった課題もあります。
まずコスト面では、PLC本体だけでなく、必要なI/O点数や機能、開発環境まで含めて総コストが増えるケースがあります。価格を押し上げやすい主な要因は次の通りです。

項目 要因
I/O点数 入出力点数が増えるほど必要なユニットや周辺機器が増加
CPU性能 処理速度やメモリ容量の要件が上がると上位モデルが必要
機能・拡張性 モーション制御や通信機能の追加で構成が肥大化
メーカー メーカーや販売形態により価格帯が変動しやすい
ソフトウェアライセンス 本体とは別に開発ツールのライセンス費用が必要な場合あり

従来はI/Oカードや拡張ユニットをPLC本体側に追加して点数を増やす構成が主流だったため、制御盤内で配線や機器が増え、作業負荷が大きくなりやすい側面もありました。また、IT連携の観点では、上位システムへデータを連携する仕組みが必要になります。PLC中心の構成では、上位システムが求める形式に合わせたデータ変換や接続方式の調整のために、中継機器や個別の連携処理が必要になる場合があります。その結果、システムの拡張や運用の負荷が増えることがあります。
一方で、リモートI/Oを活用して現場側で入出力を集約し、ネットワークで接続する構成を取り入れることで、配線点数や距離による課題を解消しやすくなります。
そのため、近年では「配線面はリモートI/Oで最適化し、制御やデータ連携はオープンな仕組みで拡張する」という設計が有効な選択肢の1つになっています。

産業用途で活躍するRaspberry Pi × 国際標準ソフトPLC「CODESYS」はリモートI/Oと相性の良い小型PLC

現場でRobust I/Oシリーズを含むリモートI/Oを活用する際には、入出力を制御する制御コントローラもあわせて選定する必要があります。
コンテックが産業用途に向けに設計した“産業用グレードのRaspberry Pi”に、国際規格に準拠したソフトウェアPLC「CODESYS(コデシス)」を組み合わせた小型PLCです。RAS/RTC機能、ウォッチドッグ、ハードウェアモニタなど、産業用コントローラに不可欠な信頼性・耐環境性を実現しています。
本章では、Raspberry PiとCODESYSを用いてPLC機能を構成する考え方と、CPIシリーズを採用するメリットについて解説します。

Raspberry PiとCODESYSでPLCとして使える仕組み

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は、小型で汎用性の高い小型コンピュータ(シングルボードコンピュータ)です。周辺機器やソフトウェアの選択肢が広く、制御用途にも応用できます。
CODESYSは、国際規格IEC 61131-3に準拠したPLCです。ラダー図(リレー回路のように動作を組み立てる代表的なPLC言語)などで制御プログラムを作成し、CODESYSランタイム上で実行することで、PLCとしての制御機能を実現します。
コンテックのCPIシリーズは、Computer Module4(CM4)を採用し、Raspberry Pi 4と高い互換性を確保し、さらにRAS機能拡張ボードと一体となったハードウェアと、CODESYSの実行環境を組み合わせ、産業用途で扱いやすい形にまとめた小型PLCです。
制御プログラムをCPI上で実行し、ネットワーク経由でリモートI/Oの入出力を読み書きすることで、現場のセンサやアクチュエータを制御できます。

関連記事:Raspberry Pi 4 ベースの小型組み込み用オールインワンPLC | コンテック

CPIシリーズを導入するメリット

盤内への実装や既存設備との接続を考える際には、省配線や運用性だけでなく、制御開発の進めやすさや上位システムとの連携まで含めて評価することが重要です。
ここでは、CPIシリーズの導入効果をイメージしやすいように、主なメリットを5つの観点にまとめて紹介します。

  • 1. 省配線と省スペースの両立
  • 2. 必要な機能に絞ってコストを最適化
  • 3. 国際標準に沿った制御開発で生産性向上
  • 4. IT・IoT活用につながるシステム連携
  • 5. Robust I/Oと組みやすい分散I/O構成
    • 1. 省配線と省スペースを両立しやすい

      CPIシリーズは小型構成を取りやすく、盤内のスペースや配線の引き回しを整理しやすい点が強みです。
      制御盤内での取り付けや配置の自由度を確保しやすく、施工やメンテナンスの作業負荷も抑えやすくなります。リモートI/Oと組み合わせれば、現場側の入出力集約と盤側の省配線を両立しやすくなります。

      2. 必要な範囲で導入しやすくコストを抑えやすい

      従来の制御構成では、I/O点数の増加や機能追加に伴って、ユニットや周辺機器が増え、総コストが膨らみやすい傾向があります。
      CPIシリーズは用途に応じて構成を組み立てやすく、必要な範囲から導入して段階的に拡張する検討がしやすくなります。過剰な設備構成を避けやすく、初期導入や増設時の負担を抑えたい状況に適しています。

      3. CODESYSで開発の型を作りやすく生産性を上げやすい

      CODESYSはPLCの制御プログラムだけでなく、操作画面の作成や機器間通信の設定、上位システムへデータを渡すためのインターフェース設定まで、同じ開発環境の中でまとめて扱えます。
      そのため、用途ごとに別ツールを使い分けたり、設定や手順が担当者ごとにバラついたりしにくく、設計から立ち上げ、保守までの作業手順を統一しやすくなります。
      引き継ぎや変更対応もスムーズになり、開発や運用の生産性向上につながります。

      4. IT・IoT連携の設計に展開しやすい

      CPIシリーズはPCベースの構成を活かしやすく、収集した設備データの可視化や分析に回すための仕組みを設計段階から組み込みやすい点が特長です。
      例えば、現場側で取得したデータをネットワーク経由で上位システムへ渡す前提の構成を設計しやすく、監視や記録の対象を後から追加する場合でも段階的に拡張しやすくなります。

      5. Robust I/Oとの相性が良く組み合わせやすい

      リモートI/Oは現場側で入出力を集約し、制御コントローラは制御ロジックや連携を担うという役割分担が基本です。
      CPIシリーズはこの構成と組み合わせやすく、現場分散と省配線のメリットを活かしながら、制御側の実装も進めやすくなります。
      特にRobust I/Oシリーズと合わせることで、過酷な環境を想定した現場側の入出力と、制御側の柔軟な構成を両立しやすくなります。

      まとめ

      従来のI/Oカードによる工場配線は、制御盤内に入出力を集約するため、点数が増えるほど配線や機器が増え、改修やトラブル対応の負荷が高まりやすい傾向がありました。
      こうした負荷を抑える方法として、装置付近にI/O機器を分散配置し、通信で接続するリモートI/Oの活用が有効です。
      一方で、工場や屋外などでは温度変化や環境ノイズ、誤配線などの影響を受けやすいため、設置環境に見合った耐環境性を備えた機器選定が重要になります。
      CONPROSYS® Robust I/Oシリーズは、広温度範囲対応やノイズ耐性、過電圧・過電流保護などの耐環境設計を備え、現場でリモートI/Oを使いやすくする選択肢の1つです。
      また、リモートI/Oを活かすには制御コントローラ側の選定も欠かせません。既存PLCに加えて、Raspberry PiをベースにIEC 61131-3準拠のソフトウェアPLCであるCODESYSを組み合わせたコンテックのCPIシリーズのような小型PLCも選択肢になります。
      現場の配線や盤スペースを最適化しつつ、将来的なデータ活用や連携にも展開したい場合は、耐環境リモートI/Oと小型PLCを組み合わせた構成を検討するとよいでしょう。

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